「早っ」

「早寝早起き、規則正しい生活しかできない体質だからな……おやすみ」

紗世には結城が、立っているのさえも辛そうに見える。

「詩乃」

結城の掠れた細い声。

結城の姉「詩乃」が結城に呼ばれ「はいはい」と、笑って返事をする。

手際よく慣れた動きで、結城の体を支え、寝室に向かう。

紗世には、やはりどう見ても弟姉には見えない。


紗世は自分が思っていた以上に、結城の体は弱いのだと思う。

あのまま、結城を置いて逃げたなら、結城はどうなっていただろうと思うと、背筋が寒くなる。

――カラータイマーの赤点滅が消えそうだった

冗談みたいに笑って言った結城。

――笑えないよ

紗世は声に出して言えない言葉を飲み込む。

「紗世さん、お風呂どうぞ。お着替え、遠慮なく着てね。あがったら声をかけて」