「紗世さん、遠慮しないで。今日は家へ泊まりなさい」

結城の姉は、襲撃されたことに驚くでもなく、明るく紗世に声をかける。

白を基調にした結城のマンションは、生活感が感じられないほど整然としている。

結城の姉は結城を無造作に、ソファーに座らせ紗世にお茶を出す。

「有り合わせしかないけれど」と言いながら、出された食事は喫茶店のランチよりも豪華で、紗世を感動させる。

「凄い、いただきます」

遠慮なく美味しそうに食べる紗世。

「良いわ、美味しそうに食べるわね」

姉は手を叩き喜ぶ。

「由樹は食が細くて作りがいがないのよ」

紗世を相手にしながらも、結城の様子を窺っている。

「詩乃」

掠れた結城の声を聞き、素早く動く。

ぐったりとソファーに伸びた結城。