思い当たる人物とスキルが結び付かない。

結城は侵入元を、ひたすら追う。

編集部の面々が固唾を飲みながら、パソコン画面を見つめる。

「……編集長、社の中枢部にハッキングしたことがバレたら、どうなります?」

結城は画面から目を離さず、訊ねる。

「!! 由樹、何処にアクセスを!?」

編集長が顔色を変える。

「社長秘書……浅田杏子にヒットしました」

場が静まり返る。

空気が凍る。

「パスワード解析し、証拠を……」

「結城、こちらに侵入できないようブロックしろ。それ以上、進むのは危険だ」

「でも相田さん……侵入元は、恐らく浅田ではありませんよ」

紗世は目の前の展開に、唖然とし口を開けている。

「黒幕がいるはずです」

「文藝夏冬社に、浅田が絡んでいることがわかったんだ。それだけでも……」

「編集長、でも……」

結城は話ながら、素早く侵入ブロックの操作を済ませる。