「まだです。部内のパソコンを集めてください」


疲れた声、だが凛として結城は声を張る。

手際よく、回線を繋ぎ、様々なアダプターを差し込みパソコンを起動させる。

連動して、集められたパソコンが起動する。

「……結城!?」

結城の指が超高速でキーを叩く。

画面いっぱいのアルファベットと数字が結城のタイピングで次々にスクロールしていく。

「万萬詩悠の起用は、まだ部外に公表していない話です。なのに、文藝夏冬社経由で梅川先生が知っておられた……有り得ない話です。恐らく盗聴だけではないはずです」

結城はパソコン画面を慎重に確かめながら、巧みにキーを叩き続ける。

「編集長が万萬起用の構想を朧気に話されたのは、半年前くらいだったと記憶しています」

「確かに万萬計画はパソコンでデータを作成したが」