すっと、胸ポケットに刺した万年筆を抜き、梅川の手にあるA4用紙に何かを書きつける。

「わかった」

梅川は眉間に皺を作り低い声でこたえ、机の上にA4用紙の束を置く。

結城は梅川の原稿をファイルに仕舞い、パソコンを畳み鞄に入れる。

紗世にプリンターを元の位置に戻させると「では」一礼し、梅川の部屋を出る。

エレベーターの中、結城は深い溜め息をつき壁に凭れかかる。

「運転は任せる」

掠れ声でポツリ。

「お昼御飯、ちゃんと食べないからバテるんですよ」

「はあ!?」

「青汁とサプリメントではエネルギー補給にはならないんですから」

「何言ってる……」

結城は不機嫌そうに紗世を見る。

「M88星雲から来たヒーローなら今、結城さんのカラータイマーは黄色点滅だと思います」