「まず、この番号に電話をかけると、ヘリウムガスで、声を変えた奴が出る。ソイツから、日時と場所を指定される。言われた通りの日時に、指定された場所に行くと、顔写真を撮られて、依頼者の代わりに命綱をつけられる」

「おい、依頼者?命綱って?」

「最後まで聞けって」

田辺の口臭と体臭に、工藤は一瞬えずいた。

口元を覆い、頷くしかできない工藤を眺めながら、田辺が話を続ける。

「命綱をつけたら、ある依頼者の代わりに、自殺を装って、ビルから飛び降りる動画を撮るらしいんだ。ようはバンジージャンプの動画みたいにさ。で、動画を加工して、まるで、その依頼者が自殺したように見せかけるらしい」

怪しい話に、工藤は眉を寄せた。

「要は、バンジーするだけで、金くれる訳?そんなに、依頼者を死んだことにしたいだけなら、その依頼者自身がバンジーやれば、済む話じゃねぇのか?どうせ見せかけるだけなんだし」

「リスクがあるんだよ」

「リスク?」