「俺にも頂戴」

「おう、どうぞ」

田辺は、空き缶の中から、出来るだけ長いタバコを探して取り出して工藤に渡した。

田辺は、公園や道路の排水溝にポイ捨てされているタバコを拾い集めてきて、再利用しているのだ。

「俺っち、実は、いい話しもらってさ、3日後から、暫く留守するから」

田辺は、どこか忘れたが、辺鄙な島にある村の出身で、自分のことを、俺っち、と呼んでいた。

「いい話し?何だよ?」

「代理自殺だよ」

「代理?自殺?」

工藤の怪訝な顔を、気にもとめずに、田辺がニヤリと笑った。