ふいに、里見のズボンのポケットのスマホが震えた。

「はい、任務完了しました。名前は工藤竜也、37歳。前職銀行員で、横領により解雇。身寄りはなく、既婚歴なし。はい、先程、写真画像送りました」

電話の相手は、誰だか分からない。なぜならヘリウムガスで声が変えられているからだ。

「……分かりました、また確認しておきます」

電話をきると、里見は小さくため息を吐き出した。

「もう次の依頼かよ……」