ーーーー時刻は、深夜2時。
指定された通りの日時に、工藤は、廃れた◯△ビルの入口をくぐった。
電球は、とっくに切れていて、中に入れば、深淵のごとき暗闇だ。
工藤は、足元を確かめながら、各階ごとにある、階段横の小さな窓から差し込む月明かりだけを頼りに、10階の屋上まで、ゆっくりと登っていく。
「はぁっ……はっ……」
ろくなモノを食べてないせいで、息は、あっという間に上がる。
心臓が、バクバクとうるさい程、音を立て始めた頃に、ようやく無機質な屋上扉にたどり着いた工藤は、ドアノブを、勢いよく捻った。
「ようこそ」
身体がビクンと跳ねた。
目を凝らせば、屋上に出てすぐの扉横に、黒いキャップを被り、不気味な白い仮面を被った、全身黒づくめの小太りの男が立っていた。
声は、ヘリウムガスで、元の声はわからないが、背格好から男だ。
「これにサインを」
工藤は、手渡されたバインダーに挟まれた誓約書に目を通して、サインをすると、男に返した。
「撮りますよ」
アップで、一枚顔写真を撮られる。突然、浴びせられたシャッターの光で、工藤は目の前の暗闇の景色から、真っ白に目が眩んだ。
思わず目を瞑った瞬間に、グイッと男に腕を掴まれて、男は、工藤を引き摺るようにして、屋上の端ギリギリまで連れて行く。
指定された通りの日時に、工藤は、廃れた◯△ビルの入口をくぐった。
電球は、とっくに切れていて、中に入れば、深淵のごとき暗闇だ。
工藤は、足元を確かめながら、各階ごとにある、階段横の小さな窓から差し込む月明かりだけを頼りに、10階の屋上まで、ゆっくりと登っていく。
「はぁっ……はっ……」
ろくなモノを食べてないせいで、息は、あっという間に上がる。
心臓が、バクバクとうるさい程、音を立て始めた頃に、ようやく無機質な屋上扉にたどり着いた工藤は、ドアノブを、勢いよく捻った。
「ようこそ」
身体がビクンと跳ねた。
目を凝らせば、屋上に出てすぐの扉横に、黒いキャップを被り、不気味な白い仮面を被った、全身黒づくめの小太りの男が立っていた。
声は、ヘリウムガスで、元の声はわからないが、背格好から男だ。
「これにサインを」
工藤は、手渡されたバインダーに挟まれた誓約書に目を通して、サインをすると、男に返した。
「撮りますよ」
アップで、一枚顔写真を撮られる。突然、浴びせられたシャッターの光で、工藤は目の前の暗闇の景色から、真っ白に目が眩んだ。
思わず目を瞑った瞬間に、グイッと男に腕を掴まれて、男は、工藤を引き摺るようにして、屋上の端ギリギリまで連れて行く。