「ん? なあに?」
「制服だったらまた聖女だってわからなくて問題になるんじゃないか? あれはユウナにとっての身分証明書みたいなもんだろ」
俺にとっての聖剣バルムンクが、ユウナにとっての聖衣である。彼女の場合は俺の様に帯剣すれば良いわけではないので、わざわざ着替える必要があるはずだ。
「それの事なんだけど……まあ、見てもらうのが早いかな」
「うん?」
「ちょっと見ててね」
ユウナはどこか得意げな顔でそう言うと、指をパチッと鳴らした。
その瞬間に一瞬だけ彼女の周囲に光が迸ったかと思えば、あらびっくり。次の瞬間には、聖衣を着ているユウナの姿があった。
「え⁉ 何それ⁉」
「えへへ。実は、こうやって魔法を使えば一瞬で着替えられるようになったの」
ユウナは言いながらもう一度パチッと指を鳴らすと、次の瞬間には元の制服姿になっていた。
なんだか、めちゃくちゃ精度の高いマジックショーを見せられている気分になってくる。どうやっているのかさっぱりわからない。
「すっげ……それ、どうやったの? 何の魔法?」
「多分、〈物質転移魔法〉だと思う」
「思うって?」
「えっと……イメージしたらできちゃったから、いまいち原理がよくわかってないの」
ごめんね、とユウナは困り顔で笑った。
どうやら幼い頃に見ていた女児アニメの変身シーンをイメージしみたらできただけらしくて、原理そのものはわかっていないそうだ。
ただ、自身の使える魔法の中からこの現象ができそうなものを鑑みてみると、〈物質転移魔法〉を応用しているぐらいしか考えられないという。
──一瞬で着替えられるの便利そうだな。俺は〈物質転移魔法〉が使えないからなぁ。
ユウナだけの特殊技能らしい。服を一瞬で物質転移して着替えているのだろうか。原理がさっぱりわからなかった。
っていうか、ちょっと待てよ? そうなると……これって高速生着替えを見せつけられている事になるのではないだろうか⁉
「あのさ、ユウナさん」
俺はその疑問を解決すべく、切り出してみた。
「……なあに?」
いきなり〝さん付け〟になって畏まる俺を、胡乱げに見つめるユウナ。
ただ、これは大事な質問だ。是非答えてもらわないといけない。
「服が切り替わる瞬間の、一瞬光ってる時あるじゃん?」
「うん、あるけど……それがどうしたの?」
「その時って、その光の中どうなってるの?」
「え? あ……ッ」
そこで、俺の質問の意図を理解したのだろう。
彼女は顔を赤くすると、慌てて自らの両手で胸元を覆う様に隠した。そして、責める様な目つきで俺の方を見ると、こう言うのだった。
「……やだ。想像しないでよ。えっち」
どうやら、触れてはいけない質問だったらしい。
「制服だったらまた聖女だってわからなくて問題になるんじゃないか? あれはユウナにとっての身分証明書みたいなもんだろ」
俺にとっての聖剣バルムンクが、ユウナにとっての聖衣である。彼女の場合は俺の様に帯剣すれば良いわけではないので、わざわざ着替える必要があるはずだ。
「それの事なんだけど……まあ、見てもらうのが早いかな」
「うん?」
「ちょっと見ててね」
ユウナはどこか得意げな顔でそう言うと、指をパチッと鳴らした。
その瞬間に一瞬だけ彼女の周囲に光が迸ったかと思えば、あらびっくり。次の瞬間には、聖衣を着ているユウナの姿があった。
「え⁉ 何それ⁉」
「えへへ。実は、こうやって魔法を使えば一瞬で着替えられるようになったの」
ユウナは言いながらもう一度パチッと指を鳴らすと、次の瞬間には元の制服姿になっていた。
なんだか、めちゃくちゃ精度の高いマジックショーを見せられている気分になってくる。どうやっているのかさっぱりわからない。
「すっげ……それ、どうやったの? 何の魔法?」
「多分、〈物質転移魔法〉だと思う」
「思うって?」
「えっと……イメージしたらできちゃったから、いまいち原理がよくわかってないの」
ごめんね、とユウナは困り顔で笑った。
どうやら幼い頃に見ていた女児アニメの変身シーンをイメージしみたらできただけらしくて、原理そのものはわかっていないそうだ。
ただ、自身の使える魔法の中からこの現象ができそうなものを鑑みてみると、〈物質転移魔法〉を応用しているぐらいしか考えられないという。
──一瞬で着替えられるの便利そうだな。俺は〈物質転移魔法〉が使えないからなぁ。
ユウナだけの特殊技能らしい。服を一瞬で物質転移して着替えているのだろうか。原理がさっぱりわからなかった。
っていうか、ちょっと待てよ? そうなると……これって高速生着替えを見せつけられている事になるのではないだろうか⁉
「あのさ、ユウナさん」
俺はその疑問を解決すべく、切り出してみた。
「……なあに?」
いきなり〝さん付け〟になって畏まる俺を、胡乱げに見つめるユウナ。
ただ、これは大事な質問だ。是非答えてもらわないといけない。
「服が切り替わる瞬間の、一瞬光ってる時あるじゃん?」
「うん、あるけど……それがどうしたの?」
「その時って、その光の中どうなってるの?」
「え? あ……ッ」
そこで、俺の質問の意図を理解したのだろう。
彼女は顔を赤くすると、慌てて自らの両手で胸元を覆う様に隠した。そして、責める様な目つきで俺の方を見ると、こう言うのだった。
「……やだ。想像しないでよ。えっち」
どうやら、触れてはいけない質問だったらしい。