俺が親指をならず者のリーダー風の男に向けて弾いた瞬間──その男の顔が、まるで全力で殴られたかの様に吹っ飛んだ。闘気を親指に圧縮して弾いたのだ。
──おお……できた。指弾だ。って、ちょっと闘気こめ過ぎたか? あいつ、大丈夫かな。
そう思って今吹っ飛ばした奴の方を見てみると、こめかみを押さえて立ち上がっている。
「い、いってぇぇ! 今何が起こったんだ⁉」
きょろきょろとあたりを見回して、こめかみを擦っていた。
良かった、力加減もばっちりだ。
ちなみに指弾とは、昔読んだ漫画の技で、今俺がやった様な感じで親指で弾いて空気圧を作って相手に飛ばす技、だったような気がする。何年も前に読んだ漫画なので、さすがに詳しい設定までは覚えていないけれど、確かそんな感じだった。さすがに空気圧を飛ばせる様な怪力は持ち合わせていないので、闘気で代用だ。
こうして望まぬ状態で異世界に召喚されたわけだけれども、漫画で読んだ技を真似れるのだけは良い。絶対に現実世界では真似できない事だったわけだし。同じ要領で闘気を圧縮させれば気功波みたいなものも打てる。まあ、危ないから今はやらないけれど。
「てめえ、何しやがった⁉」
「喚くんじゃねえ! 大方、飛び道具を手品みてぇに仕込んでやがったんだ。こんなナヨい男にそんな力があるわけがねえ」
「舐めやがって……ぶっ殺してやる!」
男達が口々に言いながら抜剣して、俺へと殺到してくる。
指弾にビビッて引いてくれるかと思っていたが、むしろ神経を逆撫でしてしまったらしい。ちょっと加減し過ぎたのかもしれない。
俺は迫りくる男達の攻撃に対して、フットワークを使って右へ左へと動いて剣撃を避けていく。
彼らの攻撃が当たる事はまずないし、当たったとは言え闘気で身体を覆っているので刃が肌まで届く事はない。これが魔法の剣だったり相手も闘気や魔力を操る実力者であったりしたならば話は違ってくるが、彼らは戦闘に関してはズブの素人だ。
おそらく剣や図体だけで威嚇して思い通りにしてきたチンピラなのだろう。なに、見掛け倒しでイキる奴がいるのは、異世界も現実も変わらない。そういう奴らには、多少の御仕置が必要だ。
「ち、ちくしょう! 攻撃が当たらない!」
「何だってんだこの男!」
「でも、攻め続けてたらさっきの飛び道具は使えねえ。いいから攻撃を止めるんじゃねえぞ!」
そんな会話をしながら、ぜえぜえと息を切らして剣を振るっていらっしゃる。
茶番と言えども、だんだんアホらしくなってきた。こうやってイキり散らかしている奴を困らせるのはそれなりに楽しくもあるのだけれど、さすがにこれ以上続けていても芸にもならない。
──もう終わらせてもいいかな。
本日何度目かの溜め息を吐いてから、相手が振り下ろしてきた剣に対して指弾を飛ばした。それと共にパキィィンという乾いた金属音が周囲に響き渡り、剣先と柄が別れを告げる。
「え⁉」
男が自分の剣を見て困惑している隙にその男の肩に片手を突いて跳び箱の様にして跳び上がると、空中で振り向いてそのまま親指から指弾を三発放って、ならず者達の持つ剣を全てへし折っていく。再び広場に乾いた金属音が響き、剣の切っ先が地面に突き刺さった。
その間に降り立った反動で地面を蹴り上げ、三人と一気に距離を縮める。
「痛いぞ」
俺は丁寧にそう教えてやってから、それぞれの腹に手を当て闘気の圧を送り込んだ。
「「「ぐえええええ」」」
それと同時に三人の男達は胃の内容物を吐き散らし、ぐったりと膝から崩れ落ちた。闘気を体内に通して、胃を刺激したのだ。
これも昔、Utubeで見た達人の技だかを闘気を用いて再現してみた。今回はただ胃を闘気で刺激しただけで留めているが、闘気の量を増やせば内臓を壊す事もできる。さすがに今回の奴らレベルの相手にはそんな酷い事しないけども。
──おお……できた。指弾だ。って、ちょっと闘気こめ過ぎたか? あいつ、大丈夫かな。
そう思って今吹っ飛ばした奴の方を見てみると、こめかみを押さえて立ち上がっている。
「い、いってぇぇ! 今何が起こったんだ⁉」
きょろきょろとあたりを見回して、こめかみを擦っていた。
良かった、力加減もばっちりだ。
ちなみに指弾とは、昔読んだ漫画の技で、今俺がやった様な感じで親指で弾いて空気圧を作って相手に飛ばす技、だったような気がする。何年も前に読んだ漫画なので、さすがに詳しい設定までは覚えていないけれど、確かそんな感じだった。さすがに空気圧を飛ばせる様な怪力は持ち合わせていないので、闘気で代用だ。
こうして望まぬ状態で異世界に召喚されたわけだけれども、漫画で読んだ技を真似れるのだけは良い。絶対に現実世界では真似できない事だったわけだし。同じ要領で闘気を圧縮させれば気功波みたいなものも打てる。まあ、危ないから今はやらないけれど。
「てめえ、何しやがった⁉」
「喚くんじゃねえ! 大方、飛び道具を手品みてぇに仕込んでやがったんだ。こんなナヨい男にそんな力があるわけがねえ」
「舐めやがって……ぶっ殺してやる!」
男達が口々に言いながら抜剣して、俺へと殺到してくる。
指弾にビビッて引いてくれるかと思っていたが、むしろ神経を逆撫でしてしまったらしい。ちょっと加減し過ぎたのかもしれない。
俺は迫りくる男達の攻撃に対して、フットワークを使って右へ左へと動いて剣撃を避けていく。
彼らの攻撃が当たる事はまずないし、当たったとは言え闘気で身体を覆っているので刃が肌まで届く事はない。これが魔法の剣だったり相手も闘気や魔力を操る実力者であったりしたならば話は違ってくるが、彼らは戦闘に関してはズブの素人だ。
おそらく剣や図体だけで威嚇して思い通りにしてきたチンピラなのだろう。なに、見掛け倒しでイキる奴がいるのは、異世界も現実も変わらない。そういう奴らには、多少の御仕置が必要だ。
「ち、ちくしょう! 攻撃が当たらない!」
「何だってんだこの男!」
「でも、攻め続けてたらさっきの飛び道具は使えねえ。いいから攻撃を止めるんじゃねえぞ!」
そんな会話をしながら、ぜえぜえと息を切らして剣を振るっていらっしゃる。
茶番と言えども、だんだんアホらしくなってきた。こうやってイキり散らかしている奴を困らせるのはそれなりに楽しくもあるのだけれど、さすがにこれ以上続けていても芸にもならない。
──もう終わらせてもいいかな。
本日何度目かの溜め息を吐いてから、相手が振り下ろしてきた剣に対して指弾を飛ばした。それと共にパキィィンという乾いた金属音が周囲に響き渡り、剣先と柄が別れを告げる。
「え⁉」
男が自分の剣を見て困惑している隙にその男の肩に片手を突いて跳び箱の様にして跳び上がると、空中で振り向いてそのまま親指から指弾を三発放って、ならず者達の持つ剣を全てへし折っていく。再び広場に乾いた金属音が響き、剣の切っ先が地面に突き刺さった。
その間に降り立った反動で地面を蹴り上げ、三人と一気に距離を縮める。
「痛いぞ」
俺は丁寧にそう教えてやってから、それぞれの腹に手を当て闘気の圧を送り込んだ。
「「「ぐえええええ」」」
それと同時に三人の男達は胃の内容物を吐き散らし、ぐったりと膝から崩れ落ちた。闘気を体内に通して、胃を刺激したのだ。
これも昔、Utubeで見た達人の技だかを闘気を用いて再現してみた。今回はただ胃を闘気で刺激しただけで留めているが、闘気の量を増やせば内臓を壊す事もできる。さすがに今回の奴らレベルの相手にはそんな酷い事しないけども。