「鞍馬だって彼女ができれば、所構わずいちゃつくんじゃないか」
「当たり前じゃん! 四六時中くっつくわ!」
「……お前、そういうのが重くてフラれるんだよ」
「なんだと!? きー! 爆発しろっ」
半眼で見据えながら痛いところをついてくる伊吹に、鞍馬は人間界でも使い古された文句で応戦する。
激しく言い争う腹違いの兄弟だが、凛にとってはもはやいつもの光景だった。ふたりは〝ケンカするほど仲がいい〟を地で行く間柄なのである。
たぶん少し放っておけばすぐに収まるはずだと、ふたりの口ゲンカに慣れ切った凛は傍観していた。
しかし伊吹の言うように、いつも女性とうまくいかないらしい鞍馬のことは気にかかる。
天狗の母親と鬼の父親から生まれた鞍馬は、凛と同い年の二十歳。少年を思わせるかわいらしさを残したアイドルのような面立ちで、金色の髪をなびかせ、髪と同色のやや垂れた大きな瞳 はいつも好奇心旺盛そうに光っている。
母性本能をくすぐる無邪気さがあり、麗しく大人の色気を醸し出す伊吹とはまた違った魅力がある。
普通に女性が放っておかないタイプなはずだが、思い込んだら突っ走る性分のある鞍馬は、彼が好む奥ゆかしい性格の女性からはどうやら敬遠されてしまうらしい。
逆に、鞍馬が苦手とする強気で我が道を行く気質の女性からは好かれるらしく、どうもうまくいかないことが多いようだ。
需要と供給が一致しないためか、鞍馬が女性といい雰囲気になってもいつの間にか音信不通になってしまうんだとか。
「当たり前じゃん! 四六時中くっつくわ!」
「……お前、そういうのが重くてフラれるんだよ」
「なんだと!? きー! 爆発しろっ」
半眼で見据えながら痛いところをついてくる伊吹に、鞍馬は人間界でも使い古された文句で応戦する。
激しく言い争う腹違いの兄弟だが、凛にとってはもはやいつもの光景だった。ふたりは〝ケンカするほど仲がいい〟を地で行く間柄なのである。
たぶん少し放っておけばすぐに収まるはずだと、ふたりの口ゲンカに慣れ切った凛は傍観していた。
しかし伊吹の言うように、いつも女性とうまくいかないらしい鞍馬のことは気にかかる。
天狗の母親と鬼の父親から生まれた鞍馬は、凛と同い年の二十歳。少年を思わせるかわいらしさを残したアイドルのような面立ちで、金色の髪をなびかせ、髪と同色のやや垂れた大きな瞳 はいつも好奇心旺盛そうに光っている。
母性本能をくすぐる無邪気さがあり、麗しく大人の色気を醸し出す伊吹とはまた違った魅力がある。
普通に女性が放っておかないタイプなはずだが、思い込んだら突っ走る性分のある鞍馬は、彼が好む奥ゆかしい性格の女性からはどうやら敬遠されてしまうらしい。
逆に、鞍馬が苦手とする強気で我が道を行く気質の女性からは好かれるらしく、どうもうまくいかないことが多いようだ。
需要と供給が一致しないためか、鞍馬が女性といい雰囲気になってもいつの間にか音信不通になってしまうんだとか。