確かに、食べたらそこで人間の女は消滅してしまう。その存在が貴重であるならば、できるだけ生かしておくに違いない。

「まあ、それでも危険な目に遭っているには違いないし、安心しろというのはおかしいのかもしれない。しかし今ならたぶん、救出は可能だろう。今日からふたりで全力でこの件に取り組もう」

「はい……!」

 凛は深く頷いた。『最強』の称号を持つ鬼の若殿であり、いつも自分を心から愛してくれる伊吹が、妹を救うために一緒に立ち向かってくれる。

 凛にとって、こんなに心強い味方はいなかった。



※こちらは書籍版の試し読みになります。続きは書籍版で。