その後も、行方不明になった人の足取りや詳しい特徴、推定される犯人像について次々と流されていた。

 しかし、まだ行方不明者の中で発見された者はおらず、事件解決の糸口は見つかっていないようだった。

 ――本当に大変な事態になっているみたい……。

 物々しい様子で詳細が説明されていくニュース番組を見ながら、凛がそんなふうに思っていると。

『警察は先日行方不明になった方の公開捜査に踏み切ることにしました。番組でも、お名前や身体的特徴、行方不明当日の足取りなど、詳しくご紹介いたします。――ひとり目は、(ひいらぎ)(らん)さん』

 聞いた瞬間、凛は戦慄した。

 あまりにも聞き覚えのありすぎる響きだった。姓は人間界で凛が名乗っていたものと同じ『柊』。そして、凛と同じく一字だけの名前。

 その姓名は、凛の実妹の蘭と一字一句同じだったのだ。

 聞き間違いではないかとか、同姓同名の他人ではないかとか、可能性の低い希望を抱き、どうか妹ではありませんようにと懇願する凛。

 しかし、名を読み上げられた後テレビ画面に映し出されたのは間違いなく妹の蘭の顔写真だった。

 ……目元も口元も、自分とよく似ている。

 (どう)()がして、凛は胸を押さえる。

 自分を人間だと知らない火照もいるのだから、激しく動揺しているのを悟られてはならないと、震える唇を噛みしめた。すると。

「……凛。ちょっとこっちにおいで」

 いつの間にか居間の障子を開けて廊下に移動していた伊吹が凛に手招きをしながら声をかけた。

 火照の前で平静を装わなければならないのがつらかった凛は、逃げるように伊吹の方へと駆け寄る。