「そうなんすよ、凛さん。俺も動画サイトにアップされた人間界のニュースを見たんすけど、めっちゃ騒ぎになってるみたいっす」

「えっ、人間界のニュースが動画サイトにアップされているの? あやかし界でも見られるってこと?」

 あまりいい思い出はないとはいえ、人間だけにやはり人間界の事情は気にかかる。凛がそう尋ねると、火照は頷いた。

「見られるっすよ。あ、凛さん興味あります?」

「えっ……。う、うん」

 少し迷ったが、凛は肯定した。

 自分の正体が人間である件については火照には隠している。

 あまり人間界に興味がある素振りを見せたくなかったが、どうしても気になった。

「さすが鬼の若殿の嫁さんっすね! 人間界にも気を配るなんて」

 火照がまったく疑う様子もなく動画を検索し始めたので、凛は内心ホッとする。

 すると、「これっす」と彼はすぐに人間界のニュース動画をノートパソコンの画面に映した。

 伊吹も気になったのか、真剣な面持ちで画面を注視している。

『連日、若い女性ばかりが行方不明になっております。前日まで職場や学校に通っている方ばかりで、家出の可能性は低いとのことです』

 画面の中では、人間の女性アナウンサーが深刻な表情で誘拐事件の詳細について伝えている。

 —―誘拐されたのって、若い女の子ばかりなんだ。

 あやかし界で流れていたニュースでは、誘拐された人間の素性についてはまったく報じられていなかった。

 一瞬見ただけで知らなかった情報が出てきたので、凛は今まで以上に食い入るように画面を見つめる。