とてもじゃないが、見ているのが伊吹だけだったとしてもこのアイドルの衣装をまとうのは無理だ。むしろ伊吹に見られるのが一番恥ずかしい。
すると、伊吹はとても残念そうな顔をした。
「そうか……。すまない」
「い、いえ」
「まあ、凛はこんな衣装を着なくてもかわいいよ」
「あ、ありがとうございます……?」
変な会話を繰り広げるふたりを、火照は呆れた顔で見ている。
「鞍馬。このふたり、真剣になに話してんの?」
「あー、あんまり気にしないで。ただいちゃついてるだけだから」
鞍馬が苦笑いをして答えた時……。
『最近、人間界で多発している行方不明事件ですが、今週も何人かの行方がわからなくなっているとのことです』
国茂が見ていたあやかし界のテレビ局の報道番組から、アナウンサーのそんな声が聞こえてきた。
この件については何度かニュース番組で流れていたのを見たので、凛もすでに知っている。
そのたびに誘拐された人たちが皆、早く無事に見つかるといいな……とは思っていたが、すでに凛の生活拠点はあやかし界だったので、あまり深く考えてはいなかった。
「あー。この事件かあ。あやかし界ではあまり報道されてないけど、人間界では大事になってるんすよね」
人間界の事情に詳しい火照が、眉をひそめて言う。
確かに、あやかし界ですらニュースに取り上げられているのだから、人間界ではもっと詳細な報道がされているのだろうと容易に想像ができた。
「そうなんだね……。何人も行方不明になっているという話だもんね」
すると、伊吹はとても残念そうな顔をした。
「そうか……。すまない」
「い、いえ」
「まあ、凛はこんな衣装を着なくてもかわいいよ」
「あ、ありがとうございます……?」
変な会話を繰り広げるふたりを、火照は呆れた顔で見ている。
「鞍馬。このふたり、真剣になに話してんの?」
「あー、あんまり気にしないで。ただいちゃついてるだけだから」
鞍馬が苦笑いをして答えた時……。
『最近、人間界で多発している行方不明事件ですが、今週も何人かの行方がわからなくなっているとのことです』
国茂が見ていたあやかし界のテレビ局の報道番組から、アナウンサーのそんな声が聞こえてきた。
この件については何度かニュース番組で流れていたのを見たので、凛もすでに知っている。
そのたびに誘拐された人たちが皆、早く無事に見つかるといいな……とは思っていたが、すでに凛の生活拠点はあやかし界だったので、あまり深く考えてはいなかった。
「あー。この事件かあ。あやかし界ではあまり報道されてないけど、人間界では大事になってるんすよね」
人間界の事情に詳しい火照が、眉をひそめて言う。
確かに、あやかし界ですらニュースに取り上げられているのだから、人間界ではもっと詳細な報道がされているのだろうと容易に想像ができた。
「そうなんだね……。何人も行方不明になっているという話だもんね」