…………もう一度、召喚を行えるらしいが、それはさておき。
あまりにも、桁が違う数字だった。
四千年前とこれば、もはや文献でも追いきれない時代だ。ちょうどその頃以前の資料が、一つも残っていないのである。
今は亡き文明があったとかなかったとか、伝説だけが語り継がれている謎に包まれた時代だ。
「…………四千年前!」
このステータスバーの表記が本当ならば、俺は今、とんでもない生き物と遭遇していることになる。
「そうか、ここは四千年後なのか。ふっ、そりゃあ随分待ったと思った」
「……待ったって、言うと?」
「【古代召喚】のスキルを持つものを、だ。まだ召喚されていない他の者も、みな御霊となり、この世に再び召喚されるのを待っておる」
なんて大仰な。
明らかに、常識の範疇を逸脱している。でも現実として、いるはずのない龍が召喚できたのだから、信じるほかない。
「ともかくせっかくこちらの時代にきたのだ。今後ともよろしく頼むぞ、我が主人よ」
取り乱したくもなるが、こういうときこそ冷静にならなくてはなるまい。
俺は元文官なのだ。切り替えて、聞き込みを始める。
「なぁ。ちなみに『今後』ってことは何回も呼び出せるのか?」
「うむ、そのようだな」
「つまり、一度召喚したものを呼び出すために、このポイントとやらは不要ということか」
言い換えれば、召喚を行うたび、必ず他の魂を召喚できるということだ。
ふむ、なるほど。
「ぬ? 主人よ、それはなにをしておるのだ?」
「あぁ、スキルについてメモ書きを少しね。こういったことは、記しておかないと済まない性質なんだ」
整理すると、
・ポイントを使えば【古代召喚】を一度行うことができる。
・召喚したものは、俺の配下となり、俺にもそのものと同じ能力が付与される
・四千年前(古代文明のあった時期である可能性あり)
・言葉はほとんど同じ
こんなところだろうか。
領主ポイントとやらの貯め方など、まだ不明な点は多いが……
「だとしても、なんだ、このスキル…………!」
俺はつい、声にしてしまった。
外れスキルだなんて、とんでもない。これは、むしろ大当たりのスキルだ。