まるでヨーロッパの街並みだ。威厳と風格を感じさせる建物が並ぶ街並みは、歩いているだけで楽しかった。そこにライオンさんも加われば、ここはもはや本の一部、ファンタジーの世界の様。今までだって十分ファンタジーだったはずなのに、今が一番それを感じるのが不思議。

門を通ってからずっと大通りを真っ直ぐに進んでいる。両側に並ぶ住居や商店の他に、一際大きな施設が現れて足を止めた。


「ここは?」

「図書館」

「とっ、図書館……!」


前に本で読んだ魔法使いの世界に出てくる図書館の様な、煉瓦造りの素敵な外観である。この大きな建物の中に一体どんな本が保管されているんだろう……!


「入るか?」


不意に投げかけられたライオンさんのお誘いに、千切れんばかりに頷いた。是非とも入ってみたいと、言葉にならない興奮を表すと、ライオンさんは呆れたように笑った。

ガラスの扉を開けて中に入ると、広い空間に出た。ホテルのエントランスホールのような感じ。真ん中にはソファとテーブルが置かれていて、きっと読書スペースだろうと思われる。オレンジのランプの光に照らされた室内は縦の高さがとてもあり、天井までの間に遮るものが何も無い分外から見るより高さを実感した。

しかし広さも高さもあるはずなのに、開放感はそれほど無い。なぜなら周囲を囲む壁には天井いっぱいまでびっしり本が詰められていて、本による圧迫感がすごかったからだ。しかもその本一つ一つがきちんと丁寧に並べられている訳ではなく、同じ棚に並ぶ本のサイズもまちまちで、時折背表紙が飛び出ていたりする。