どこに?と、躊躇う程の大きさである。そもそもノックが響くサイズ感では無いんだけど……と、ライオンさんを見ると、早くしろよと目で言われてしまった為、慌てて右側の扉の方をノックしてみた。コンコン……分厚い鉄の扉なんだなというのが分かるお返事が扉から返ってきた。ハンマーでも持ってこないと向こう側の人には何も届かないだろう。

——と、思った矢先。


ゴゴゴゴゴ——


大きな音と共にゆっくりと両側の扉が真ん中から押し出されていく。ゆっくり、ゆっくりと錆びついた扉が開かれていく様は、長い間開け方が分からなくなっていた宝箱が開かれる瞬間に立ち会ったような感動があった。扉が開かれると共に、先の景色が段々と現れる。そこで目に飛び込んできたのは森の青々とした緑では無く、レンガ道と同じ温かな赤茶色。


——ゴオン…


完全に開かれた扉の先には、レンガで作られた綺麗な街並みが広がっていた。レンガ道は間違いなくこの街へ続く道だったのだと、納得する景色だった。


「うわぁ……綺麗……!」


まるで別の国へやって来たかの様な景色に自然と感想が溢れると、隣にライオンさんがやってきた。


「ここがライオンさんの街?」

「そう」

「素敵な所だね……」


案内して欲しいと頼むと、ライオンさんは頷いて歩き出したので、わくわくしながら私もそれに続いた。