「あれは、門?」

「そう。あそこが街の入り口だ」

「え? ……でも、何もないよ」


辺りを見渡してみたものの、周囲は変わらず森の中。家の一つも見当たらないし、閉ざされた大きな門がそこに立っているだけである。ただ、門に近付くにつれて木々が減っていく分、辺りはどんどん明るくなり、まるで特別な場所だとでもいう様にその周囲一帯だけが照らし出されているのが、なんだかとても神秘的だった。

足はまるで引き寄せられるようにレンガ道を進んでいく。先にある、大きな門に向かって。


「うわぁ……すごい」


目の前に立つと、まさに圧巻だった。テーマパークの入り口の様に大きな両開きの門が、ピタリと閉ざされてしんと佇んでいる。長くここにあるのであろう風化した様子がまるで遺跡のような威厳を放つ、鉄の板で出来た大きな立派な門だった。


「ライオンさんはここから来たの?」

「そう」

「まさかこの門を開けて? どうやって開けたの?」


ピタリと閉じて随分と開かれていないような雰囲気だった。明らかに人力では開けられそうに無いし、そういった装置のようなものも特に見当たらない。


「俺にとっては開くとか開かないとかじゃないから、関係無い」

「そうなの? じゃあ私は?」

「あんたは……まぁ、とりあえずノックしてみろ」

「え? ノック?」