その返答に、もしかして何もかも違った? 怒らせてしまった?と、次に繋げる言葉も思いつかずにいると、ライオンさんはまたもや大きな溜め息をついた。出会ってからのこの短い期間で四回目だ、さぞ呆れられている事だろう。
「すみません……」と、もはや呼吸のように呟くと、ライオンさんはピタリと足を止めてこちらに向き直った。ギロリと、私を睨む様に見つめてくる。
「だから、さっきからその敬語何?」
「……え?」
「他の奴には使わないのに、何で俺だけ敬語なんだよ」
「……」
何で俺だけ敬語なのっていうのは、他の猫さんと犬さんと比べてという事だろうか……やっぱりこの世界の住人達にはやり取り全てが筒抜けらしい。
何でと言われてもそれは、これだけ威圧感があったらそうなるのでは……だから王様だと思った所もあるし、そもそも今までの子達は本当に小さな動物だったから、人間の形を持つライオンさんとは比べようが無いというか……でもそれをどう伝えたら良いものなのだろうか。
「……怖くないって言ったくせに」
うんうん唸りながら悩んでいると、急な彼の言葉でハッとした。目の前には不貞腐れた様子の彼が居る。なんだ、そういう事だったのか。
「敬語、使わないと失礼かなと思ったもので」
「失礼ってなんだよ」
「うん、ごめんなさい。勘違いしてた。本当に怖くないし、君とも仲良くなりたいと思ってるよ」
「……」