森の奥へ続いていくレンガ道を、ライオンさんは真っ直ぐに歩いていく。まるでこの先に何があるのか分かっている足取りだ。それもそうか、ライオンさんは私の来た道と反対側から来たのだから。
「どこに向かってるんですか?」
「街」
「え、この先に街があるんですか?」
まさかこんなに自然溢れる森の中に街があるなんて。あ、だからレンガ道なの? 住人が通る為に舗装してあるって事で合ってるのかな。まだまだ何も見えて来ないけれど、一体どんな街なんだろう。
「ライオンさんは街から来たんですか?」
「そう」
「そこに住んでるんですか?」
「住んでるっていうか、俺の街」
「俺の街」
やっぱり! 彼は王様だったのだ。つまり私は今、ライオンさんの街へ王様直々に招待されているという事か……なんだか恐れ多い事になってきた。
「じゃあ王様のライオンさんがなんで街の外に? 一人でお散歩なんて危ないんじゃないでしょうか……」
「は? 王様?」
「え? あれ? だって俺の街だって」
「俺が支配してるとかそういう訳じゃない。俺の街というか、場所というか。もしかしてライオンだから、とか思ってる? だからさっきから敬語なのか?」
「……」