始めに着いた場所だからここが一番浅い場所で、これから深い場所に潜っていくのだと思っていたけれど、そうとなると今のこの場所の危険度の説明がつく。


「危険な影が現れるのも、あの子の願望が現れやすい心に一番近い場所だから。道を一歩外れただけで場所が変わったのは、その場所と同じ場所に存在する世界だったから。そうなると、私は始めから一番深い場所に居た事になる。という事は、あの子はこの森のどこかに居る」


全てを繋げると、答えは出た。この場所のどこかにあの子は居る。きっとそれで間違ってないと思う。……でも、そうなるという事は。


「……猫さんは始めに、なんで私を他の場所に連れて行ったの?」

「……」


あの子がこの森に居るのなら、他の場所に行く必要は無かったはずだ。あの時手伝うと言ってくれた。今だって影から私を助けてくれて、次へと導いてくれている。この場所がどんな場所か教えてくれて、私の身の安全を優先して、もうやめたら?と心配もしてくれて……猫さんは、ずっと始めからそうだった。——だけど。


「もしかして猫さんは、私があの子を見つけられないようにしてる……?」

「……」