「……どうしてそこまで?」
猫さんは俯いて、小さく問う。どこか申し訳なさそうな様子だった。それが何故なのかなんて分からないけれど、大丈夫だよと、いつもより小さく見える猫さんを両手でそっと持ち上げる。黒猫は抵抗しなかった。
「あの子は、私の欲しかった言葉をくれたから」
膝に乗せて、ぎゅっと抱きしめる。安心してねと伝えたかった。柔らかくて温かくて、幸せな気持ち。それを二人で分け合いたいと思った。
「私も気づかなかった欲しかった言葉を、あの子はくれたんだよ。私はその言葉に全てを受け止めて貰えた気持ちになったの。……だから、今度は私の番」
猫さんを地面へそっとおろすと、綺麗な金の瞳と目が合った。私の意思を届けたいと思った。その透き通った金の瞳を通じて。
「私は絶対に見つけるよ。だから、安心して」
私の気持ちが届きますように。私の覚悟はもう決まっているのだから、次はあなたの番だ。一緒に探そう。私達、そう約束したじゃない。
「……分かった」
そう答えると、猫さんは黙って歩き出す。着いてきてと言われなくても私は素直にそれに従った。初めて会った時から私達はそうだったのだから、今もそう。私はあなたの背中を追いかけるのだ。