そうだ、確かに犬くんの言う通り、私はとにかくあの子を探すだけ。それを手伝ってくれる仲間が増えたという事で、そのヒントが他にも沢山ある事を今知る事が出来たのだ。不安に思う必要は何も無いのだと、小さな彼のおかげで、乱れていた心を丸く収める事が出来た。小さな身体で、大きな優しさを持った犬くんだ。
「よし。まずはスワンボートだね」
「そう、スワンボート!」
にこにこの小さな犬の歩みにつられて私の歩みも早くなる。前向きに、前向きに! 折角なんだから楽しくいこうと、元気な犬くんは言っている。そんな気持ち、すっかり忘れてたなぁと犬くんのおかげで気付く事が出来た。
そう。ここは夢の中なのだから。私はいつも夢での冒険を楽しみにしていた。相棒が居る時と居ない時があったけれど、最近はずっと居てくれる。私だけの物語は気付いたら私と誰かの物語になっている。
探しに行くよ、待っててねと心の中であの子に語りかけると、足元の犬くんも私の顔を見て嬉しそうにしていた。犬くんは私の心情に敏感な様だ。
「あ! 見えて来た! やっとあった!」
遠くに白鳥の頭の部分が見えて、犬はぴょんぴょん跳ねるように走り出す。置いていかれないように私も走って後を追った。