そもそもこの場所の事を何も分かっていないけれど、このまま進んで大丈夫なのだろうか。前回の森だって、影が居るから気をつけないといけないなんて知らなかった。猫さんが教えてくれて初めて知った事実だけど、知らないまま探し出そうと私はしていた。危険だったのだ。

そして今、あの時教えてくれた猫さんが居ない。


「ここは……この公園は、一体どんな所なの?」

「ここはのんびり出来る所だよ。ベンチに座って秋の空気を感じるのも良いよね。澄み切っていて気持ち良いよ。ちょっと散歩してみようかなとか、誰かを誘ってどこかへ行こうかなとか、気持ちも前向きになるし」

「……そんな気持ちにあの子もなる場所って事だよね? じゃあここには何か気をつける事とか無いの?」


今はこの小さな犬に尋ねる他無いのだと、つい質問だらけになってしまう。質問攻めにされる僕の気持ち分かる? という黒猫の言葉が急に思い浮かんで、ハッと足元の犬くんを見た。彼は、うーんと困った顔で私を見ていた。


「……あのね、そんなに不安にならなくても大丈夫だよ。君は探しにきたんだから、それだけを考えていれば良いんだよ。僕がお手伝いするからね」


犬くんは、そんなに肩に力を入れないで大丈夫。顔が怖くなってるよと、足元に寄ってきて優しく笑ってくれる。楽しく行こうと、明るく勇気づけてくれて、私の気持ちを受け止めてくれた。


「……うん、ありがとう」