「そんな事あるよ! 今は君の話題で持ちきりなんだから。僕もずっと会いたかったんだけど、みのりちゃん、あんまり犬は好きそうじゃなかったから」
「? 犬も好きだよ。でも今もっと好きになったよ……」
何でこんなにふわふわなんだろう。温かくて柔らかくてふわふわ。ずっと触っていたい所にどうぞと言われてしまったら、こんなの永遠に終わらないよ……。
……じゃなくて! ちょっと待って私、さっきから色々スルーしている気がする!
「どこで何が起きてるの? どんな話になってるの?」
「最近ここで、あの子はみのりちゃんって言うんだよ〜って。小さい子と猫と本が好きって聞いたよ」
「その通りだ……じゃあ本当に今ここで私の話が出回ってるって事? なんで?」
「なんでもなにも、知っての通りここはあの子の世界だよ? つまりあの子の中は今、みのりちゃんの事で一杯って事だよ」
「へ? あ、そ、そっか……そういう事になるのか……」
私の事で一杯と言われて思わず照れてしまったけれど、単純に見つけてもらう為だという事はちゃんと分かっている。それが今あの子の頭の中で一番の問題になっているという事だ。それ以外の他意は無いのでちょっと冷静になれ私。
変な所で動揺する私を、どうしたの?という目で首を傾げて見ている小さな彼を前に、一つ深呼吸。なんだかこの子は色々話してくれそうな気配がある。ここで沢山聞いた方が良い。