「……なんか暗いね、みのりちゃん」
公園の終わりを求めてだいぶ歩いてきた為、始めに居た大きな池の場所まで戻るには同じだけ歩く事になる。じっと黙って歩き続けていると、足元をちょこちょこ歩く犬が私を仰ぎ見て不安そうに言った。
「僕と一緒は嫌?」
「そんな事無いよ! 多分、考え事をしてたせいかも。結構歩くなぁとか、猫さんはいつ出てくるのかなぁとか……暗いとか嫌だとかそんな事は無いの」
というか、ちょっと待って。
「君、私の名前知ってるの?」
「知ってるよー! 有名だよ!」
ピンと耳を立てて嬉しそうに目をまん丸にさせる犬がとても可愛い。花とか音符とかぴょんぴょん周りを飛んでるように見えるくらい、溢れんばかりの嬉しさを表してくれる。
「有名って……そんな事ないでしょう」
しゃがんで頭を撫でると、尻尾をぶんぶん振っておすわりをした。なるほど……犬好きの人の気持ちが大変よく分かりました。考え事とかこの可愛さの前ではどうでも良くなってしまう……。