「……あれ? もしかして、もう諦めるの?」
つい溢れた私の溜息を見逃さない黒猫は、にっこりしてそんな事を言う。どうやら私が困ってるのが嬉しいらしい。
「違うよ。沢山歩いて疲れたから少し休憩するの」
なんかちょっと意地悪なんだよなぁと、丁度見つかったベンチに腰を下ろした。こんなにすぐに諦める訳がないじゃないか。私だって本気なのだから。
でも、一体どこに居るんだろう。探すと聞いて単純に歩き回ったけれど、もしかしたらその方法から違うのかもしれない。考え方を変えるべき? さっきの樹海にも理由があった様に、ここにもここである理由があるのだとしたら、それを知る必要がある、とか。
そうなると、今知っている事を一つずつ整理していく必要があるのかもしれない。
「……こんなに歩いても終わりに辿り着かないって事は、きっとこの公園自体があの子の世界って事だよね?」
「……」
「その中で変わらずずっとあるものは木とベンチ。それ以外の物といったら、始めにあった池とスワンボート。何にも確認しないで来ちゃったけど、もしかしたらそこに何かヒントがあったのかもしれない?」
「……」
「スワンボートは一台じゃなかったし、乗ってみたら何か変わるとかあり得る? 他に何も思い付かないのならまずやってみるべきだよね?」
「……」