「この変わったきっかけが何だったのか、猫さんには分かるの?」
「まぁ、何となくはね」
「そうなんだ。それって猫さんが夢の中の住人だから?」
「夢の中の住人って……いつそんな名前付けたの?」
猫さんは鼻で笑うと、探さなくていいの?と先へ進むよう促すので、素直にその指示に従った。そうだった、猫さんの事よりもまず大事なのはあの子の事だ。
とりあえず端から端まで行こうと広い公園内を真っ直ぐに歩く。広大な公園らしく、終わりが見えない。どこまでも紅葉した木々と道が続いているなかに、たまにベンチが現れる。ただそれだけ。
「他に誰も居ないね」
「そうだね」
「こんなに誰も居ないもの? この場所には居ないって事?」
「どうなんだろうね。それを確認するのも君の仕事じゃない?」
「そうか……そうだね。これは猫さんの言う通り、探すには長期戦を覚悟した方が良いね」
私に見つかりたく無いと言っていた言葉通り、本当に姿を見せる気がこれっぽっちも無いのだろう。子供のかくれんぼのようなつもりでいたのは間違いのようだ。だったら、どうしたら良いのかな。