「あれ? 変わってる……」
よし、出発だと気合いを入れて踏み出したは良いものの、外の景色はがらりと変わっていた。先程までのじめっとした空気とは違う、爽やかな風が頬を撫で、通り抜けていく。
広くて見通しの良い自然豊かな公園だった。季節は秋なのか、赤や黄色に紅葉した葉が茂る木が、整備をされつつ乱雑さを残した配置で植えられている。真ん中には丸い大きな池があり、無人のスワンボートが乗り場に静かに並んでいて、池の周りは落ちないよう手摺りで囲まれていた。
アスファルトで舗装させている道を歩いて行くと、点々と木の下にはベンチがあり、見上げた先の木々の隙間から漏れる日差しが優しく輝いていた。はらりと降ってくる色の付いた落ち葉が綺麗。ここは暖かくて、穏やかな場所だ。
「さっき、あの森はあの子の気持ちが反映してるって言ってたよね? ここもそう?」
「そうだよ」
「じゃあもう今は悲しんでいないって事? こんなに穏やかで落ち着いた場所だもの」
「そうなんじゃない? 人の心なんてちょっとした事ですぐ変わるものだよ。アイツもグズグズする癖に単純なんだね」
「そうなのか……」
でも、それなら良かった。どこか知らない場所で悲しんでいないのなら。のんびり穏やかな気持ちでいられるならそれでいい。