「いいよ、手伝うよ。そのつもりだったから」
「本当!」
やったぁ!と喜んだのと同時に、だったら最初の時点ですぐに案内してくれれば良かったのに……とも思ったけれど、決して口には出さなかった。折角戻った猫さんの機嫌を損ねたらいけないと思ったからだ。……なのに。
「会った瞬間からさ、挨拶も無しに質問攻めにあう僕の気持ち分かる?」
「……すみません……」
「都合良く使える猫だと思わないでよね、ちゃんと僕に感謝する事」
「はい……本当にありがとうございます」
全部、猫さんにはお見通しという事で。
分かればよろしいと、胸を張る黒猫はとても頼りがいがあったので、感謝の気持ちを忘れずに頼りにしていこうと心に決めた。きっと素敵なサポートをしてくれるに違いない。
「で、猫さん。この森の中をどうやって探したらいいんだろう」
「まずはここがどういう所かしっかり知るべきだよ。探すのはそれからの話」
着いておいでと歩き出す黒猫に続いて、靄の中を進む。見失わないように気を付けなければと、過去二回とも見失った実績がある鈍臭い私は気合いを入れた。けれど、猫さんは何度も振り返りながら私の歩みに合わせてくれたので、その必要が無くなった事が有り難かった。