「おはよう、玉木さん」

「! おはよう、中川君」


前回に続いて二回目の事だった。中川君がまだ朝の早い、誰も来るはずの無い教室に現れる。


「早いんだね。中川君、何か用事があるの?」

「……うん」


頷いた中川君だったけれど、それ以上何かを言う素振りは無く、何の用があるのかまでは話すつもりは無いようだった。


「玉木さんは今日も本を読んでるの?」

「うん。その為もあって早く来てるから」

「どんなの読んでるか聞いても良い?」

「いいよ。今日はね、ちょっと夢について興味があって調べてる所なの」


これだよと表紙を見せると、中川君は興味ありげにタイトルを目でなぞる。


「夢の成り立ち? どうやって夢を見るのか、とか?」

「そう。最近よく夢を見るんだけど、そもそも夢ってなんだっけと思って」