ずっと気になっていた。彼は実在する人物なのか、前回の夢の後からずっと考えていた。今日またここで君に会えるのを、ずっと心待ちにしていた。

もし君がこの世界にいるのなら、夢の外で君に会いたいと思う。君ともっと世界を広げたいと思う。君が居てくれたらと思う。


「……それを知ってどうするの?」

「君ともっと話がしたいな」

「ここでも出来るよ」

「でも、本当の君に会いたい。君は本当はこんなに小さな男の子じゃないよね?」


もし仮に、彼が現実にいる存在だとしたら。本当にいるのかどうか疑う中で一つ引っかかったのは、もしかしたら子供ですらないのかも、という事。半々だった。本当に小さい子なのかもしれないし、夢でだけ姿を変えているのかも。何も知らない状態ではどちらも同じだけの信憑性があった。

しかしたった今、実在する事を否定されなかった事で、本の感想を聞かせて貰った事で、確信を持った。もし本当にその年齢ならこんな話し方はしないし、こんな悩み方はしない。こんな感想に辿り着かない。


「……でもこれも僕だ。中身は僕なんだから」

「そうだけど、本当の事を知りたいよ」

「僕は知られたくないって言ってるんだよ」

「なんで?」

「なんで? だって君はこの小さな僕が好きなだけだ」

「この君が好きなら本当の君も好きだよ」

「そんなの分からない。僕は僕が嫌いだ、どうせ僕を知ったら仲良くなんてしてくれないくせに」

「そんな事絶対にないよ!」

「あるよ、そうなんだから」