「じゃあ前回が星空の下だったのはなんで?」

「あれは寝る前に読んだ本の影響。魔法使いの魔法っていう本だよ」

「分かった、読んでみる。そしたら次の夢はまた前回と同じかも。次は僕の夢が反映すると思うから」

「うん分かった……うん?」

「じゃあまた次の夢で」


そこで、電池が切れたように容赦なく現実へと戻された。しばらくぼうっと天井を眺める。今何が起こったのか、理解するのに時間がかかったからだ。

次は僕の夢が反映すると思うから、という言葉の意味は? つまり、あの子も夢を見ているという事?

夢を見るという事は、あの子は現実に居る、私とは別の人間だという事…?


実際問題私の夢である事は確かなので、私が無意識にあの男の子が本当に居る人だったら良いのにと願って反映された台詞が出た、という事もあるかもしれない。あの子が本当に居たら嬉しいと思うし。

本について聞かれたのも私の本に興味を持って貰いたい願望からきたとしても可笑しくない。同じ本の感想を言い合う友達が居たら楽しいなと思っていたのも事実だし。


ただ、夢に私の願望が反映されただけなのではと思えば思うほど、どこか引っかかるのはなぜだろう。