それは先生がくれた水族館の仲間達消しゴムだった。気持ち良さそうに泳いでいるのが可笑しくて、つい頬が緩むのが分かった。流石夢の中、突拍子もない事が起こる。良いなぁ、消しゴム達は海を満喫しているみたいだ。


「今日は水族館?」


すると、突然掛けられた声。急に隣に現れたのは前回の夢にも居たあの男の子。どうやら今回の夢にもきてくれたらしい彼に、「そうだよ」と頷いた。今日も約束通りだ。


「……あれは何?」

「消しゴム。水族館のお土産だよ」

「水族館に行ったの?」

「ううん。夏の思い出のお裾分けって貰ったんだ」


夢に出てくるくらい嬉しかった事がバレてしまうのは少し恥ずかしかったけれど、きっとこの子にはお見通しなんだろうなと諦めた。だって私の心の中の相棒なのだから。


「誰に貰ったの?」

「先生」

「先生? 学校の?」

「ううん、家庭教師の」

「……」