あったかくなれ、あったかくなれ。優しく背中を撫でながら、前回の冷え切った彼の身体を思い出す。今日もこの間程ではなくても冷たく感じる。私より小さな身体だ、丸っと全部、包み込んであげたい。
「魔法じゃないんだけどね、ハグしても心が軽くなるんだよ」
「……」
「本当かなぁって思ってる? なんか、三十秒のハグでストレスが三割減るんだって。ぬいぐるみでも良いらしいから前にやってみたんだけど、ちょっと気持ちが軽くなる気がするんだよね。ぬいぐるみで良いなら私でも良いかなって思ったんだけど……」
「……」
「……ちょっと三十秒待ってみようか」
抵抗する事無く黙って腕の中に収まっている様子に、私も話すのをやめてぎゅっとする事に専念した。この子の心よ軽くなれ。解れて優しく温まれ。こんなに小さな身体で頑張る君はすごい。
「……そろそろ三十秒かな」
そっと離れようとすると、ぎゅっと、男の子が離れない。