「君はどんな魔法が良い?」
「……僕?」
「うん。あんまり使いたい魔法がイメージ出来なくて」
「……」
男の子は顎に手を当てて黙り込む。どうやら真剣に考えてくれているみたいだった。
「……心を、もっと軽くしたい」
「……軽く?」
「うん。なんだか、すごく重いから。もう何も考えたく無いし何の影響も受けたくないから心を固くしようと思ったんだ。そしたら何だか、すごく重たくて」
「……」
「でも柔らかくするのは傷つきそうでもう怖いし、固いまま軽くならないかなって。魔法でなんとかなる?」
「……」
固くなった心が重たいから軽くしたい……つまり、疲れた心を解したい、ということかな。
それなら一つ、魔法を使わなくても良い方法を知っている。
「! え、なにっ、」
「よしよし、大丈夫大丈夫」
ぎゅっと、私は小さな彼を抱きしめた。