チラリと私を見た男の子は目が合うとすぐにそらして足元を見詰めてしまうので、なかなか真っ直ぐに目が合わない。なんだろう。前回が前回だから気まずく思っているのだろうか。
「……ねぇ見て、すごく綺麗だよね」
「?」
空を指差すと、ずっと下を見つめていた男の子は私の声掛けに合わせて顔を上げた。すると丁度、流れ星が私達の目の前を横切っていく。
「こんなに沢山星が見えるなんてすごいよね。流れ星だってさっきから何回も流れてる。お月様はまん丸だし、こんな日は魔法の力も強まるんだって」
「……魔法の力?」
「うん。私は今日、魔法を使ってみたいなと思ってるよ。だから魔法の杖を探そうと思ってたの」
「だからえいってしてたの?」
「……見てた? 指じゃ魔法が使えないみたいで……」
ふふっと、小さく男の子が笑う。何回もしてたねと言われて少し恥ずかしかったけれど、気まずそうにしていた雰囲気が無くなって良かった。
「どんな魔法を使うつもりだったの?」
「……うーんと」
消失の魔法、と頭に浮かんでそこで止めた。それは男の子に居なくなってしまった黒猫の事を思い出させてしまいそうだったから。