満天の星空の下、初めて上手くいったのが物を消す魔法だったのだ。じゃあそれにならって私も、まずは足元の芝生を消すイメージを、


「何してるの?」

「きゃ‼︎」


急に人が現れて、身体が飛び跳ねるくらい驚いた。いや、急じゃないのかも。後ろから近付いて来ていたのに気付かなかっただけなのかもしれない。すっかり消す方に集中していて全然周りが見えていなかった。


「あ、君は!」

「……うん」


足元を見つめる様にして立つこの子は間違いなく、前回の夢に出てきた男の子だった。また会えた。本の夢だから今回は違うのかなと思ったけれど、前回に引き続きまた夢が繋がっているようだった。


「元気だった?」

「……うん」

「そっか、良かった。とりあえず座って座って」


敷物とか無くてごめんねと、自分の隣に座るよう促すと、小さな男の子は素直に座ってくれた。


「約束したから来てくれたの?」

「……約束、覚えてた?」

「覚えてたよ。君が元気そうで良かった」