男の子は私の腕に収まったままじっと黙っていた。思っていたよりも小さい。話している内容や話し方から小学生くらいかなと思っていたけれど、もしかしたらもう少し小さいのかも。夢の中だから年齢も何も関係無いだろうけど、小さな子というだけで胸が締め付けられる。すると、


「……猫が好きなんだよね?」


 腕の中の男の子が、ぽつりと私に問う。


「うん、好きだよ」

「小さい子は?」

「好きだよ。ちなみにその首輪も、私は可愛くて好きだったよ」

「…………」


 男の子が顔上げる。涙はもう止まっていて、先ほどまでとは違いその瞳には力がこもり、そこにしっかりとした彼の意思が宿っている様に見えた。


「一緒に探す。そうする。次はちゃんと、君の夢で」

「……え?」

「約束だよ」


 ハッと、そこで目が覚めた。いつもの部屋。光の漏れるカーテンに迎えた朝。この間とまるで同じ。

 また約束をした。次は君の夢でと、あの子は言った。次は、君の夢で?


 だったら今の夢は?


 ざわざわと胸騒ぎがする。寝起きにしては疲れ切っていて、緊張が解けたみたいな解放感がどこかある。でもなんだか、未だに背中がぞわぞわするような樹海での物騒なやり取りの余韻が残っていて、身体は汗でびっしょりだった。