……そんな風に思ってくれていたなんて。

クラスでひとりぼっちの私。言われた通りにしか生きてこなかった私。そんな風に言って貰える様な人間じゃないのは確かだったけど——その言葉で、今までの私が全て肯定された様な、孤独に手を差し伸べられた様な、そんな気がしてたまらなかった。

彼は、私を知っていた。知っていて、私を選んでくれた。そう伝えてもらえた事がどれだけ嬉しい事か……感動で、胸が震えた。


「だから俺は君の夢の中に入って……それで、傷つけた。信じられなくてごめん。信じられない俺でごめん。俺はいつも人を信じられない、ダメな理由がようやく分かったんだ」


君が教えてくれたんだよと、中川君は優しい声で私に言う。けれどその一方で、自分の事は厳しい声で話し続ける。


「誰に対しても、きっと信じてくれない。きっと真剣に考えてくれない。きっと心の中では笑ってて、いつか裏切られるはず……ずっとそんな風に思ってたけど、それってさ、よく考えたら直接言われた訳じゃ無いんだ。なのに俺が勝手に予防線はってそれに疲れて、ぐるぐるぐるぐる、それの繰り返し。俺は信じて貰えなくて傷付く怖さを知っていたのに、それと同じ事を玉木さんにやったんだ」


そして、弱くてごめん。こんな自分でごめんと、中川君は私に謝る。何度も、何度も。自分のせいだ、最低だと私に告げる彼の手は机の上でギュッと握りしめられていて、込められる力が、思いが、とても痛々しかった。