みんな、みんな優しかった。みんな私を大切に思ってくれているのだと伝わって来て、だから私は彼を見つけられた。みんな同じ一つの存在で、全部が中川君の全て。私が見つけたかったあの子。私が信じた、優しい君。それがあなただった。

すっと心が落ち着いて、そうだなと、なんだか納得した。中川君は中川君で、私は私。きっと同じ気持ちだと、私はあの時君を信じた。その気持ちに嘘は無かった。


「……じゃあ、私を見つけて」


信じたかった。大好きな君だから。本当は探しに来てくれて嬉しかった。だから……また会えると、信じても良いかな。


「待ってるね」


そう告げると、私はそっと目を閉じる。ここは私の夢の中。だったら、私の意思で抜け出す事も出来るはず。

目を閉じたまま心でゆっくりと数を数える。三つ数えた所で目を開くと、そこは見知った私の部屋のベッドの上だった。閉じたカーテンの隙間から光がもれて、外ではもう太陽が昇っている事が分かった。朝だ、朝が来たのだ。

これで長い夢はもうおしまい。私は、現実に戻ってきた。