「僕がいけないんだ」


男の子は、泣きながら言葉を繋ぐ。


「僕がいつも、怖がるから。疲れてしまうから。一人で居たいと思うから。それなのに独りぼっちは嫌だから、猫は生まれた。だけど、猫は嫌がった。だから猫に首輪を付けたら、猫はもっと嫌がった」

「……」

「猫は人と繋がるべきだって。でも僕はもう、どうしようも無く辛い気持ちだった。そしたら猫はうんざりだって、僕に全部を押しつけて消えちゃった。もう嫌だ……僕も消えたい、死んじゃいたい」

「!」

「そうだ、消えたかったのは猫じゃない。僕の方。いつだって、僕の方。消えるべきは、僕の方」


カッと目を見開いた男の子が私の腕を掴むと、グッと身体を寄せてくる。鼻と鼻がぶつかるくらいに私達の距離は近い。


「僕はもう、死にたいんだ」


目の前で絞り出すように残酷な言葉が告げられる。そんな事を口にするこの小さな男の子を私はいてもたってもいられずギュッと抱きしめた。腕の中のこの子はなんだかとても冷たくて、芯まで冷えきっているようだった。