もう良い、終わりだと中川君が吐き捨てると、彼の背後に影がゆらゆらと集まってくるのがぼんやりと分かった。ぼんやりと、意識の外側での事だった。

そっか……そういう事だったんだ。

彼の言葉で全てが理解出来た。何故私がここに呼ばれたのか。何故私を必要としてくれたのか。それが分かった瞬間、段々と世界が色を無くしていく。


「……一人でも平気な私はもう居ないよ。一人でも平気なら今、私はここに居ないもの。だって、ひとりぼっちの私を見つけたのも、ひとりぼっちが寂しい事を教えてくれたのも、私の窮屈な毎日の他の世界を見せてくれたのも、中川君だよ」


君が私を必要としてくれるのなら。私と同じ様に大切に思ってくれているのなら。私はなんでも頑張れた。なんだってしてあげたかった。私を変えてくれた君だから、私には君の気持ちが分かるから、だから私が助けたいと思っていた。


「私は君を受け入れてる。どんな君でも君が好き。だから現実で会おうって、私、伝えてきたはずなのに。ずっとずっと、夢の中でどんな君にも、伝えたはずなのに……」


私の声は結局、君には届いていなかったんだね。私の思いは君に必要とされなかった。君は私を受け入れてはくれなかった。


「君は私の事を、信じてくれないんだね」