お城といえば大通りを真っ直ぐ行った所だと、なんとなく想像がつく。だってお城へ続く道だから門から続く一本道で、一番広い道が使われていて、そこが城下の一番栄える道になるものだよね?

とにかく行ってみようと、ライオンさんに案内して貰ってはいないけれど勝手に目的地を決定した。大通りの場所は分かるのだから迷子になる事も無いだろう。気合いで満ち溢れた私は、意気揚々に歩き出したのだった。


——が、結果。そこには何も無い事が分かった。つまり、この街にお城なんてものは存在していなかったのだ。

ただひたすらに大通りを歩き続けると大きな壁に遮られて道がそこで終わっていたので、次はその壁沿いに歩いてみる事にする。すると、始めにくぐったあの大きな鉄の門へと辿り着いて、その時ようやくこの大きな壁は街を囲う高い塀だったのだと理解した。大通りは街の真ん中に真っ直ぐ引かれていただけで、お城へ続く道では無かったという事だった。

私にとってお城が無かった事による衝撃は割と大きなものだった。こんなに海外のお城が似合う街並みだもの。図書館のイメージもあって、魔法使いのお城の様な所にライオンさんは住んでいるのだとばかり……すっかりライオンは百獣の王だという印象が抜けきれていなかった。

今思えば本人から王様じゃないと言われたはずなのに、何故かすっかり頭に無かった。なんでだろう? でもライオンさんのものでは無かったとしても、歴史的建造物としてこの街にお城があったって可笑しくなさそうなものなのに。むしろ今からでも作って欲しいくらいだし。

……なんて、そんなどうしようもない文句ばかり思いつくのは、これが丸一日費やした結果だからだ。今となればなんであんなにお城があると確信していたのか分からない。誰もあるとは言ってなかったのに……そもそももっと早い段階で気づいていれば良かったものの……いや、また文句のループに入ってる。仕方ないものは仕方ないのだからもう諦めよう。