……これは、拒絶されたという事?
私の答えに、合っているとも、間違っているとも言われなかった。何を言ってるんだと誤魔化される事も、だとしたらどうするのかと試される事も無かった。微笑み出て行った、ただそれだけ。こうして扉の前で佇んでいても、ここで迎えを待っていても、外から扉が開かれる事は無いのだろうと、それだけは感じ取っていた。
どうしよう……どうする?
着いてこいとは言われていない。この夢がこのまま終わるのかも、まだ続くのかも分からない。ここに居ても良いのかも……いや、でももし居て欲しく無いのだとしたら、さっきのやり取りの後、もうとっくに外へ出されているのではないだろうか。まだここに居るという事は、まだここで私のやれる事がある……と、受け取っても良いのかな。
まだ出来る事がある。つまり、まだ私は必要とされている。そう頭の中で答えを繋ぎ合わせると、嫌な寒気が段々と回復していった。大きく深呼吸をすると心臓も穏やかさを取り戻して、ギュッと気持ちに力が籠る。追いかけなければ。あの子を見つけなければ。それが私の出来る事!
気持ちを込めて扉を開くと、そこは変わらずライオンさんの街のままだった。とりあえず、まずはほっと一息つく。また違う場所に繋がっていたらどうしようかと思ったから。
響いている、ザザンという波の音。目の前の歩道を挟んだ先には、昨日と変わらない海の景色が広がっていたけれど、曇り空のせいでキラキラとした輝きが半減していた。灰色の空を映す、灰色の海が寂しい。そこにライオンさんの姿も無い。
一体どこへ行ってしまったのだろう。場所が変わらなかったという事は、この街のどこかに居るとは思うんだけど……やっぱりお城?