じっとライオンさんを見つめて、昨晩尋ねるつもりであった言葉を真っ直ぐにライオンさんへと届けた。もし、これが正解だとしたら——その結末を迎える覚悟が私にはあった。答えに辿り着いてこの夢を終わらせる覚悟が。終わりを迎えた後、先の未来へ二人で向かう覚悟が。

ライオンさんはじっと黙っている。そんな彼を瞬きひとつ逃すものかと、私も黙って見つめていた。沈黙の分だけ、私の中で確信が募っていく。あなたは君なのだと、やっと見つけた嬉しさが込み上げる。やっと君に会える……! しかし、ライオンさんは私を見つめたまま動かない。


「……ライオンさん?」

「……」


首を傾げる私に、ライオンさんはニッコリと表情を動かしてみせた。微笑んだ——だけ。ただそれだけで、何も言わずに私を見つめている。あれ?と、彼の反応に込み上げていた嬉々とした感情がさっと引いていくのが分かった。何? これはどういう意味?

どう返せば良いのか分からなくて、尋ねる言葉も見つけられないまま、ライオンさんがくるりと私に背を向ける。そしてそのまま何を告げる事も無く、彼は扉を開けて一人、家から出て行ってしまった。

取り残された私はただ、呆然と扉の前に佇んでいた。広がる静けさに責め立てられる様にドクドクと心臓が動き出すものだから、ギュッと胸に手を当てて押さえ込もうとする。……不安だ。この気持ちの名前は不安。手が冷たくて寒気を感じるのに、汗がじわりと滲み出る。