やれやれと、朝一番に出会ったのは呆れ顔のライオンさんである。よく見たらいつの間にか私は家で寝る時に着ているパジャマ姿になっていて、毎朝の様にきっと寝癖もすごいのだろう想像がついた。何故扉を開けてしまったのだろう……とりあえず身支度を整えますと部屋へ戻ろうとすると、ライオンさんは言う。「今は魔法使いだろ?」と。

その言葉にハッとして、ギュッと目を閉じると、寝る前の自分の姿を想像してみた。あの姿になれ、寝癖よ元に戻れ……っ! すると、目を開いた時には想像通りの洋服を着た自分がいて、触った感じ、髪の毛も絡まったりはねたりしている様子は無かった。一瞬にして身支度の完成だ。


「わっ! 出来た! 出来てるよね?」

「出来てる出来てる」

「わ〜! とっても楽で良い〜!」


魔法って最高! こんな使い方最高! 「毎日出来たら良いのに〜」なんて、それは深い意味も無く、高揚した気分から自然と口をついて出た言葉だった。


「じゃあ居る?」


ポツリと呟かれた言葉と共に、一歩、家の中へ踏み出したライオンさん。え?と、彼を見上げると、目が合ったライオンさんはニッコリ笑って、後ろ手に扉をパタンと閉めた。


「ここに居れば毎日魔法が使える。願いが叶う。思い描いた通りの世界がつくれる」

「えっと、ライオンさん?」

「ずっとここに居れば良い。ここはとても自由だし、それに一人じゃない」

「!」