「あ……えっと、でも早くした方が良いと思って……」
「今? ここで? 明日じゃ駄目なの?」
「……」
……確かに。そう言われると明日でも良い気がしてきた……もう夜だし、簡単に済む話でもないし、なんか雨でも降りそうなじっとりとした変な空気だし……。
「今日はもう寝ろ。また明日」
「……うん。また明日」
うむを言わせない雰囲気のライオンさんに送られて、私はまた家に戻ってきた。言われた通りにベッドに潜り込んで、明日は絶対ライオンさんに話すぞと覚悟を決める。ベッドはふかふかで、横になった途端にどっと疲れを自覚したけれど、なんだか頭はさえ切っていてなかなか眠りにつく事が出来なかった。
……——トントン
家の扉がノックされる音で目が覚めた。寝る前に閉じたカーテンの隙間から光が差し込んでいる。朝だ。朝になったのだ。あんなに眠れないと思っていたのに、気づいたら朝なんて……
トントンッ
「! は、はい! 今出ます!」
そうだ、誰か来てるんだった。きっとライオンさんだ。昨日迎えに来ると言っていたから、朝になってライオンさんがやってきたのだ。
慌ててベッドから飛び降りると玄関まで走り、勢いのまま扉を思いっきり開く。
「……」
「お、おはようっ……ございます……」
「まさか、今起きたのか?」
「……寝つきが悪かったもので……」